へんな旅行記

乗り物オタクが脳内で思ってることを全部垂れ流すブログです。

船に乗る夜行列車 Trenitalia Intercity notte シチリア島→ミラノ 乗車記

イタリアの夜行列車第二弾。海を渡ってきました。

 

めっちゃ長い記事なりました。

前回はこちら

taiwankaeritai.hatenablog.com

 

 

簡単なイタリアの地理

イタリアは縦長い国です。

北イタリアはフランス、スイス、オーストリアなどに面していて、工業が発達していて大都市がたくさん。西から、トリノ、ミラノ、ベネチアなどがあります。

 

中央イタリアはフィレンツェとかローマとか、ちょっと南にはナポリとか。これまた有名都市がたくさん。そして、ローマはイタリアの首都です。

 

南イタリアはあまり日本人に馴染みがないかも? 有名都市もあまりありません。

そして、イタリアの最南端はシチリア島シチリアレモンのシチリア島

シチリアの南はもうアフリカです。そして、ちっちゃい国マルタが間にあります。この辺りは冬もそんな寒くないすばらしい地域です。

イタリア

シチリアと本土の間のメッシーナ海峡の渡り方

地図を見てわかる通り、イタリア本体からシチリアは微妙に離れていて、間は海峡になっています。

そして、めっちゃ近いです。

メッシーナ海峡

直線距離を測ってみると約5kmです。普通に見えます。

なので、地下トンネルとか橋とかがあってもおかしくありません。が、この区間には橋もトンネルも全くありません。なぜだ?

 

一方で、シチリア島自体は割と大きく、島内にはパレルモカターニアなどのまぁまぁ大きい都市もあり、これらの都市と本土のローマとの移動の需要も一定程度あるわけです。

となったら、直通列車を走らせたい!!!

しかし、線路がつながっていない...

 

ならば連絡船で結ぼう!!! ってなります。

日本の場合、青函連絡船とか宇高連絡船とかが昔はありました。

これは船の手前の駅まで列車で来て、連絡船に乗り換え、船を降りてまた列車に乗るという方式。

上野→青森→函館→札幌みたいな感じで連絡線を介して両都市を結んでいました。

 

しかし、イタリアのシチリア島と本土の間のメッシーナ海峡はそうではありません!

列車から降りる必要がありません!!!

つまり、列車ごと船に乗り込みます。これが鉄道オタクを興奮させるポイント。

日本で言えば、上野→札幌直通で、青森~函館だけ船に乗るみたいな感じ。アツい。

 

これをやる列車は1日5往復もあります!

4往復は、ローマとシチリアを結ぶ列車。2往復が昼行で2往復が夜行。

これらは、本土区間と船までは1本の列車ですが、シチリア側のメッシーナより先は、パレルモ編成とシラクサ編成に分かれます。

パレルモシチリアの北西の都市。シラクサは南東の都市。

例えて言うなら、寝台特急富士とはやぶさが門司で分割される感じ???

 

ということで、ローマ~船、メッシーナ経由でパレルモ行きとシラクサ行きに分かれる列車が4往復あります。

 

今回乗ったやばい列車、Intercity notte 1962とは?

ただ、今回乗ったのはこれではありません。

1往復だけある、ミラノ~シチリア直通列車です。イタリア最南端のシチリア島と、イタリア北部の大都市ミラノを結ぶ長距離夜行列車なわけです。

こいつも、シチリア島内はパレルモ編成とシラクサ編成に分かれます。

今回乗ったのは、シチリアからミラノに行く方向の列車。

 

シチリアパレルモシラクサを昼過ぎに出発し、夕方にメッシーナで両者が合流し、いっしょに船に積み込まれます。で、船で海峡を渡ったヴィラサンジョバンニというところからは、ひたすらイタリアを南北に貫く幹線をぶっ飛ばし、深夜にローマを通過して翌朝10時頃にミラノに着くという壮大な行程です。

 

シチリア島内だけで3時間くらい走り、2時間かけて本土に渡り、本土を15時間くらい走るというすごい行程なわけです。つまり20時間くらいの列車旅。

日本で20時間も走る列車なんて今はないですよね。昔はトワイライトエクスプエスとかがそんな感じでしたが。

 

こちらは観光列車でもなんでもなく、毎日走る日常の列車です。

なんなら、座席車とかついてます。20時間はヤバい。

列車の構成は、個室寝台、開放寝台、座席車。今回は開放寝台の下段をチョイスしました。

個室は4月に別の列車で体験しました。

編成はパレルモ編成が増結していたのか5両、シラクサ編成は4両。トータルで9両。意外に短めです。それに対して、船に乗る区間以外ではプッシュプル方式で機関車をくっつけます。なので、シチリア島内ではそれぞれの編成の両端に機関車が付く方式。

イタリアの客車列車は基本的に機関車を回す必要がないように出来ています。両端に機関車をつけるか、制御客車が片方に付いてるかです。

 

それぞれの編成は、開放寝台3、個室寝台1みたいな構成だった気がします。

船に積み込むときはこの編成をバラして突っ込みます。そこも見どころ。

 

予約はTrenitalia.comから。簡単に予約ができて便利!

残席数とかによって金額が変動する方式です。乗った日は2週間前くらいに予約して、93ユーロくらいでした。15000円ちょい。安いです。だいぶ長距離移動して、一晩の宿もついてこのお値段です。

イタリアでまぁまぁまともなホテル泊まったらふつうに100ユーロはします。なのでだいぶお得。もし座席車ならもっと安いです!

 

ところで、20時間もわざわざ乗る必要はなく、飛行機で移動すればいいのでは???ってなります。

その通りで、シチリアからミラノなら2時間かからないくらいで飛行機が飛んでますし、LCCなら10000円しないくらいで買えます。もちろん、シチリアからローマにも飛行機がたくさん飛んでます。

 

じゃあなんで夜行列車が走っているのか???

これはよく分からないのですが、空港から遠いような駅の近くの人が使う説、荷物がクソでかい人が使う説、フィレンツェとかボローニャまで行く人が使う説などなどが考えられます。

やっぱ地元の小さい駅に大都市直通の列車があれば、空港行くよりそれに乗ったほうが便利ですし、飛行機は荷物制限厳しいし預けると高いですしね。

フィレンツェボローニャまで使う人説は、あんま降りる人がいなかったので微妙かもです。

 

なぜかわかりませんが、当日は大体の寝台が埋まってました。

 

列車に乗るためカターニア駅へ

さて、そろそろ当日の話。

先ほど書いたように、シチリア島内は、北西のパレルモから島の北側を走ってメッシーナに向かう編成と、南東のシラクサから島の東側を走ってメッシーナに向かう編成があり、両者がメッシーナから合流します。

シチリア島

本当はパレルモから乗りたかったのです。一番距離が長いので。オタクとしては。

ただ、その日の朝に北イタリア某所からシチリアに飛行機で向かい、そこから夜行列車に乗るという行程。パレルモだと間に合いませんでした...

シチリアでまともな空港があるのは、パレルモのほかはカターニアです。シラクサにはありません。

ということで、カターニアに飛びます。

 

カターニアからシラクサまで南下して、シラクサから夜行列車に乗るにも時間がないので、結局のところ乗り込むのはカターニアとなりました。

なので、残念ながら全区間乗車とはなりませんでした...

まぁ、その分カターニアで時間に余裕を持って列車に乗り込むことが出来たのでした~

 

当日の朝はまずは、ヴェネツィアの空港からカターニアの空港まで飛行機で。ひっさびさにLCCに乗りました。

荷物を小さくしてしっかりオンラインチェックインをすれば普通に乗れますね。

 

カターニア空港からカターニア市街地までは路線バス。なんとクレカで乗れました。便利すぎる。イタリアのバスってふつうは、街中のタバコ屋でチケット買ってからじゃないと乗れません。

ちなみに、カターニア空港のすぐ西側にはトレニタリアの線路があり、最近になって空港駅もできました。が、地方路線なので列車は多くても1時間に1本くらい。シラクサ方面に出るなら便利かもですが、カターニア市街に行くならバスの方が普通に便利です。

 

で、カターニア駅は市街地のちょっと先。ということで、その手前のバス停で降りて市街地観光!!!

いい景色

魚市場

そして、シチリアフード!

シチリアレモンを添えて

観光したら、カターニア駅へ。

というのもミラノ行き夜行列車は14:54発だからです。

昼過ぎ。

カターニア駅にあったSL

着いた瞬間、14:30頃にシラクサ行きの夜行列車が出て行きました。前日の夜にミラノを出た列車です。14:35発ですが、ここから乗る人はもういないからか、10分くらい早発していきました。日本じゃあり得ないやつ。

シラクサ行き

イタリアのちょいでかい駅あるあるで、駅にはバーがあります。一通りの酒が飲めるほか、お菓子とか、コーヒーとか、ソフトドリンクとか、軽食も出てきます。駅にあるとちょうどいい感じのお店です。

 

ここでソルベート食べて、ドリンクを買って、列車を待ちます。

ソルベート

翌朝までドリンクを買えるかもよくわからないですからね。

 

乗車&寝台車両視察

14:54発のミラノ行き夜行列車は、14:52くらいに南の方から入ってきました。

ミラノ行き

ミラノ行き入線!

先頭にE464機関車をつけて、その後ろに1号車から4号車の順に4両の客車、一番後ろにもE464機関車がついて、6両編成です。

E464は、片側にだけ運転台があり、プッシュプルもしくは制御客車を前提とした車両です。台湾のPP自強号のE1000とかと同じような感じ。

ミラノ行き

 

私は1号車に乗車。よくある4人部屋の2段ベッドが並ぶ寝台です。日本で言う開放B寝台。ただ、部屋の入り口にはドアが付いてます。

寝台列車

寝台の番号は明確。

1部屋ごとに10の位が統一されていて、下段が1,2で、上段が3,4。

つまり、一番端の部屋は11,12,13,14の4つのベッドがあります。1~9まで部屋があるので、寝台は36あります。

座席番号の仕組み

私は71番のベッドです。乗ったときは部屋にほかに誰もいませんでした。独り占め~

まだ15時前なので、当然ベッドはなく、お座席仕様になってます。日本で言う、寝台車のヒルネ利用。そんな言葉も10年前くらいまでしか使われてませんね。

ヒル

壁が出っ張ってるのが上段寝台。

 

日本のヒルネと違うのは、上段寝台がしまってあるということ。なので、頭上広々です。リネンは下段の端にまとまってます。

必要なものがまとまってる

必要なものたち

ウェットティッシュと、水は一人一つずつもらえます。

お水とか

お座席は、6人まで行けるみたいです。仕切りを見るに、3-3の向かい合わせ。ただし、一番端は物が置いてあるので、結局4人用。

3人掛けいす

ただ、真ん中のお席はつぶしてテーブルにもできるみたいです。なので、ここに荷物移してテーブル出して座るのが一番いいですね。

真ん中のテーブルを引き出すとこんな感じ

パッカーン

これが正解

そして、しっかりコンセントがあります。いまの時代絶対必要です。

超大事な設備

洗面台完備

メッシーナまでの絶景旅

列車はカターニアを定刻で発車し、発車したらすぐにチケットのチェックとかをされます。イタリアの列車はスマホでチケット買って、送られてくるPDFをスマホで見せればOK。駅に改札は基本ありません。なので、スマホさえあれば完結という素晴らしい仕様。

途中駅は20~30分毎に停車していきます。シチリアの小さい街なんて一生降り立つことはないんだろうな~とか思いながら、眺めます。

昼の夜行列車からの車窓

この区間は、左も右も絶景です。

左にはエトナ火山。日本の富士山みたいに美しい形をした山です。標高も富士山に近い3369m。シチリア最高峰らしいです。

エトナ火山

右には地中海。途中からはメッシーナ海峡。そして、ビーチ! 夏のシチリアといえば海です! 泳いでないですが。たくさんのイタリア人が海を満喫してました。

海!

途中に絶景の駅がありました。タオルミナです。15:39に着きました。

絶景の海とビーチと、迫りくる山。

タオルミナ

このへんで同じ寝台に人が乗ってきました! たぶん英語通じません。シチリアの人なんでしょう。駅にお見送りの家族が来てましたね~。結局ミラノまで乗ってました。

にしても、イタリア人というか日本以外の人、マジでずっと電話してますね。全然いいんですが、誰とそんなにずっと電話するんだろう。この人の場合は家族だろうけど。

 

つぎに、16:04にアリテルメ駅に到着し、しばらく停車します。

アリテルメ駅

この区間は単線だったり複線だったりするので、ここで列車の行き違い。16:11に反対からやってきたのはIntercityです。朝ローマを出て、船でシチリアに渡ってきて、メッシーナからシチリアを走る長距離列車です。

あちらは先頭が機関車、ケツが制御客車でした。

ローマから来た列車

アリテルメを出ると、メッシーナはもうすぐ。対岸にイタリアの本土が見えてきます。ずっと海沿いを走って、絶景です。

対岸がイタリア本土

16:25頃、列車はスピードを落とし、左からはパレルモ方面の線路が合流し、メッシーナ駅に到着です。

メッシーナ

どこか忘れましたが、このへんまでに同じ寝台の乗客は全員乗り込んできて、4人部屋は満席になりました。

 

いよいよ列車ごと船へ!

ここからですが、イベントが盛りだくさん。

時刻表上は、メッシーナ16:45発、対岸のヴィラサンジョヴァンニは18:45ということになっています。

この間に、

シラクサ編成とパレルモ編成の連結
メッシーナ出発
③船に乗り込み、編成解体
④出港
⑤入港
⑥船から引き出し、編成再連結
⑦ヴィラサンジョヴァンニ駅に入線

というイベントがあります!!! このためにはるばるイタリア最南端シチリア島までやってきたわけです。

 

まずはメッシーナ停車。いちばん海側の10番線に到着したのですが、同じホーム向かい側9番線にもミラノ行き夜行列車がいます。あちらがパレルモ編成。こちらより先に到着していました。

同じホームの両岸に同じ列車が停車しているという不思議な光景です。

あちらもこちらも同じ列車

メッシーナに着いたら、車内の空調が消れました。機関車が電源車を兼ねているのでしょうか。先頭の機関車が外されたので消えたっぽいです。

機関車はさようなら

客車側はぶさいくなお顔

 

メッシーナは16:45発なので、それまでは列車はホーム両岸に停車しています。

メッシーナチェントラーレ

16:45になると、ドアが閉まりました。ここから、①のイベント、シラクサ編成とパレルモ編成の連結です。

10番線に停まっていた我々シラクサ編成は、先頭の機関車を外し、後ろにだけ機関車を付けた状態で、ホームから後退していきます。入替作業。見てないですが、たぶん後ろの機関車も入替用のものに付け替えられて、間には介在車を挟んでるっぽいです。

介在車なんてものも日本じゃ特殊な列車以外では見られないです。大雄山線甲種輸送とか。介在車はこのあと船に乗るときに活躍します。

 

駅の手前まで出ていったところでいったん停車。ここからはこんどは推進運転で9番線に入っていきます。そして、9番線にはパレルモ編成。あちらは前も後ろも機関車が外れています。

そして、パレルモ編成の後ろにシラクサ編成が連結されます。シラクサ編成の一番前の客車にいたので、車内から連結作業を眺めるオタクをやりました。

入替見学

16:52に両者が連結し、9両の客車列車になりました~

 

このあと、イベント②です。

16:56にメッシーナ駅を9両と後ろの機関車でゆっくり出発しました。

昔の青森駅とか函館駅みたいに、駅の先に船がつけられ、線路がそのまま船の中に通じていきます。

船は同時に3隻並べられそうです。なんといっても、上下合わせて1日10本の列車が船に乗りますからね。

 

列車はゆっくりと前進していき、船の中に入りかけたところで停まります。

ここで、前4両を切り離して、いったん後退。これがイベント③。

船の中のポイントを切り替え、また前進。後ろ5両を置くまで押し込みます。

そこに船が見ますが、これが車窓

この船は線路は3本並行しています。ただし、入口は1本なので、船内で分岐します。

今回は端の線路に4両、逆の線路にポイントをまたいで5両入れました。

 

ここで、介在車が活躍します。

機関車は船に乗り込みません。ただ、客車を船内まで押し込もうとすると機関車も船内まで入ってくる必要があります。

そこで、介在車を使います。機関車と客車の間に数量の軽い貨車を挟みます。そうすると、機関車は陸地の手前のほうまで介在車を押し込めば、客車は船内まで入り込むというわけです。

 

前5両はパレルモ編成、後ろ4両はシラクサ編成だったので、端の線路にはパレルモ編成のうち4両、逆の線路にはパレルモ編成の1両とシラクサ編成の4両がいるということです。

意味わかりませんね。

 

もっと意味わからないのは号車番号。

私が乗っていたのは1号車。シラクサ編成は1号車から順に4号車までの4両でした。

ただ、その1号車はパレルモ編成の後ろにつきました。この時点で1号車は編成の真ん中。

さらにややこしいのは、パレルモ編成の構成。前が5号車で、そこから8号車まで4両が連なった後、44号車といういかにも増結っぽい1両が後ろについていました。

44号車

つまり、

メッシーナまでのパレルモ編成は、前から5, 6, 7, 8, 44の5両編成。

メッシーナまでのシラクサ編成は、前から1, 2, 3, 4の4両編成。

メッシーナで連結したら、前から5, 6, 7, 8 ,44, 1, 2, 3, 4の9両編成。

船内では、端の線路に、5, 6, 7, 8の4両。逆の線路に、44, 1, 2, 3, 4の5両が停まっていたということです。

船の中に列車が!

左は5両、右は4両、手前から外に線路が通じてます。

列車が船に乗り込むと、ドアが開き、船に降りられます! ドアのところには踏み台も設置してくれます。

ステップ

ステップ

船だ

ちなみにドアは半自動式で、ボタンを押すと開きます。

甲板からは階段を上ると船室へ行けます。

 

夜行列車に乗ってたけど、船旅!

ということで、夜行列車に乗っていたのに、ここからは船旅!!!

イベント④!

この船は完全に夜行列車の乗客専用っぽくて、船に列車が乗り込んだら出港しました。

17:16にメッシーナを出港!!!

船内

そして、この船には軽食の売店があります。

アランチーノを買った記憶です。あと、ドリンクも。

アランチーノ

列車には食堂車も売店もなかったので、この船の売店が重要なライフラインです。

ってか、高速列車には車内に売店があるのに、こちらの夜行列車には何もないのキツいですね。

ライフライン

船のデッキからは絶景が見られます!!!

メッシーナ港とか、シチリアに沈む夕日とかはもちろん絶景ですが、オタクとしてはやはり船の甲板にいる客車列車こそが絶景です。

船に列車が

オタクが一度は見たい絶景

列車が海を渡っている!

灯台と列車

船は30分ほどで対岸のヴィラサンジョヴァンニに着岸しました。なので、列車内に戻ります。イベント⑤です。

ヴィラサンジョヴァンニ

ちなみにですが、列車内にとどまることも可能です。航行中は列車と船の行き来は自由です。

 

列車ごと船を降りて、ヴィラサンジョヴァンニ駅へ

17:45くらいには車内に戻ります。なんとなく係員がそろそろみたいな空気感を出してくれるので、それを合図に戻りましょう。

 

船の前側から列車の出し入れをするので、メッシーナもヴィラサンジョヴァンニも南側を頭に着岸します。

ここからイベント⑥の始まり。

先ほどと同様に、5両の方を先に引き出します。

介在車を挟み、その先に機関車が付いています。

5両を引き出したら、ちょっと戻って4両と連結し、9両を船から引き出します。

車窓 船と陸の境界部分

 

全車を引き出し終わったのが17:56頃でした。

ここからまだイベント⑦があります。

メッシーナの場合、船を出てまっすぐ進めばそのまま駅でした。が、こちらヴィラサンジョヴァンニは、引き出したところからもう一回折り返して、少し坂を上ったところに駅のホームがあります。

 

なので、引き出し終わったあとは、今度は機関車が客車を押して坂を上り、ヴィラサンジョヴァンニのホームに入りました。

 

18:05くらいに5番線に到着です。

向かいの4番線には、ローマから来たIntercityがいました。ちょっと面白い編成で、先頭に機関車、中間に制御客車を向かい合わせで付けて、後ろにも機関車を付けています。

シチリアに渡れば機関車はそれぞれの編成で1つずつで足りるという編成の組み方なのでしょう。

制御客車×2

おそらく、我々が乗ってきた船にIntercityを載せて、メッシーナに渡るのでしょうね。

IntercityIntercity notte



 

ところで、ヴィラサンジョヴァンニは18:45発で、40分もあります。

だいぶ余裕のあるダイヤですね。船の時間が前後したりするからでしょうか?

気合があれば、駅前のスーパーとかに買い出しにも行けそうです。やりませんでしたが。

 

乗客は暇なのでホームに出て煙草を吸ったりしています。

後ろの方では、介在車を切り離してました。介在車のうち1両は、普通列車用の客車を繋いでました。

手前は介在車

その後、前後にはe403機関車を付けてプッシュプルとなりました。こいつらがミラノまでこの列車を引っ張っていきます。

ケツにE403

18:30に、1番線にETR500のフレッチャロッサが滑り込んできました。ミラノの手前のトリノからぶっ飛ばしてきた列車です。あちらの高速列車でも、ミラノからここまで9時間超え。トリノからは10時間超えです。その区間をこちらは今から在来線で走ろうとしています。

フレッチャロッサ

あちらの高速列車は、ヴィラサンジョヴァンニまで来たらほぼ旅は終わり。次のレッジョカラブリアが終点です。シチリアに渡る高速列車はありません。

ただ、高速列車とは言っても、ナポリ以南は在来線の線路を走るので結構のろのろです。イタリアの高速鉄道は、在来線も走れるわけです。というか、高速鉄道は、トリノ~ミラノ~ボローニャフィレンツェ~ローマ~ナポリと、ミラノ~ブレシアにだけあります。あとの区間は在来線に入ることで、全国各地を高速鉄道網で結んでいるわけです。

 

夕方の夜行列車旅

列車は定刻だと18:45にヴィラサンジョヴァンニを出発します。ここから終点ミラノまでは15時間以上まだあります。夜行列車としてはここからでも充分長距離です。

ヴィラサンジョヴァンニ

Googleに聞いてみると、道路の距離なのでちょっとは違いますが、1250kmくらいあるらしいです。これは、東京から熊本のちょっと先くらいの距離です。ヤバい遠い。

 

というか、高速鉄道が9時間かかる距離を在来線で15時間って、結構飛ばします。つまり、この列車は爆速です。

往年の寝台特急はやぶさって、確か熊本を16:00前に出て、東京に10:00前とかについていた記憶です。一方こちらはヴィラサンジョヴァンニを18:45に出てミラノに10:00頃着です。やはり速い。

 

というのも、イタリアの在来線って160km/hがデフォで、車両によっては200km/hくらい出していたりするので。

 

さて、列車はなぜかヴィラサンジョヴァンニを13分遅れの18:58に発車しました。謎の遅延。その間、海の方では18:49に先ほど向かいにいたIntercityを載せた船がメッシーナに向けて出港していきました。

 

列車はイタリア西岸に沿って北上します。つまり、西に沈む太陽がよく見えます。夜行列車から眺める夕陽は絶景ですね~

途中のRasarnoでIntercityとすれ違いました。レッジョカラブリア行きでしょうか?

そのあとすぐに、フレッチャロッサのETR1000ともすれ違いました。あちらは最新車。

 

この時期のイタリアは陽が長いです。20:00になっても太陽はまだ沈みません。

20:00の直前、ヴィボ ヴァレンティーナという駅で、太陽が海に沈む絶景を見られました。ただ、列車の遅れは増えて18分遅れ。 まぁ、巻き返すでしょう。

いい駅

絶景

この辺りから、列車はひたすら160km/hで飛ばしていきます。京成スカイライナーのMaxくらいのスピード。

スピードメーター

 

なぜか分かりませんが、20:48に到着したパオラではいつの間にか定刻に戻ってました。

 

いよいよ寝台をセットし夜仕様へ

ところで気になることですが、いつになったらこの列車のベッドはセットされるのでしょうか?

タイ国鉄の夜行列車だと、車掌が回ってきていいタイミングでベッドをセットしてくれますが、イタリアはよくわかりません。

 

眠いので寝たいところでしたが、自分の寝台には上段のおっちゃんが座ってるので寝られません。

結局分かったことは、この寝台のセットはセルフだということです。なので、誰かが言い出さない限り、始まらない。

 

結局21:00くらいに、イタリア人が「寝台セットしようかー」みたいな空気になって、セットされました。

上段のベッドの引き出し方が若干むずいです。なんか、ストッパーを外すのがコツがいります。

うまいことストッパーを外すと、壁から上段ベッドを倒すことができます。

寝台が出てきた

倒したら、あとは予め備え付けのシーツとかを付けて、ベッドの完成。最後に下段の下に隠れていた梯子を付ければ、上段に上れます。

梯子

ということで、ベッドが出来たので寝ます。部屋の電気もコントロールできるので、皆さんが横になった21:30頃に消灯しました。

ベッドの眺め

ここからは就寝タイムです。

残りの旅程はまだまだ長い

 

深夜2:54、微かな揺れで意識を取り戻しました。

現在地を見るとローマテルミニ駅です。だいぶ来ましたね。

ここで、列車の進行方向が変わったはずです。プッシュプルの力。

 

目覚めと軽食配給

そして、朝が来ます。

5:40頃、フィレンツェに着きました。フィレンツェの駅と言えば、中心にあるフィレンツェサンタマリアノヴェッラですが、この列車は寄らずにフィレンツェカンポマルテに停まります。

サンタマリアノヴェッラに入る場合、頭端式ホームに入って、折り返す必要があります。高速列車とかもフィレンツェに停まる場合、方向転換もあって10分くらい停まるので、まぁまぁなタイムロスになります。

 

そして、この列車はフィレンツェになぜか24分も早着しました。日本じゃありえん。

 

フィレンツェを出発すると、次はボローニャです。高速鉄道なら爆走するので1時間もかかりませんが、こちらはのんびり。

まずは、6:10頃にフィレンツェデルタを右折します。左に曲がるとサンタマリアノヴェッラですが、入線しないのでショートカット。

フィレンツェデルタ

ここから二度寝

7:00になると、各部屋に軽食が配られました。

パイナップルジュースと、チョコレートクッキー。そして、illyのロゴが入ってるコーヒー。本当にillyなのか?

軽食

コーヒー

以前個室に乗ったときは、クロワッサンとかの朝食セットが来たので、開放寝台だとちょっと簡素になるんですね。ただ、朝食配給は想定外でびっくりでした。イタリアらしくしっかりコーヒーがあります。

 

ボローニャからラストスパート

在来線で山を越え、列車は7:30過ぎにボローニャチェントラーレに到着しました。

ボローニャチェントラーレ

ボローニャは、高速列車は地下ホームで高速新線から直で繋がっており、地上ホームは在来線系が入ってきます。

北はヴェネツィアヴェローナ方面、西はミラノ方面の高速新線と在来線、東はアンコーナ方面、南はフィレンツェ方面の高速新線と在来線 が分岐する一大拠点です。

 

この列車は確かいちばん駅舎に近い1番線に着きましたが、北のほうのホームには新型Railjetがいました。

あちらは8:00頃に出発し、ヴェローナとか、オーストリアのインスブルクとかを経由し、はるばるドイツのミュンヘンまで向かう国際列車です。

そして、新型Railjetが最も最初に導入されたのがこの、ボローニャミュンヘンの路線なのです。

そもそもRailjetっていうのはオーストリアの最速達列車に使われる車両&種別のことで、230km/hで走る性能があります。

新型Railjet

こちらの列車は7:40頃、定刻でミラノ方面へ出発。旅はあと2時間ちょい。終盤に差し掛かりました。

いくらでも寝れるので、爆睡します。

8:00頃には、新聞を配布していました。そんなサービスもあるんですね。ただ、イタリア語の新聞は読めないので貰いません。

 

途中のモデナ、パルマ、ピアツェンツァなどの中規模都市に停車していきます。ピアツェンツァは9:20頃に到着。既に朝を過ぎて午前中という感じの時間帯。

長閑

そして、この長旅の最後の停車駅がこのピアツェンツァです。ここから終点のミラノまでは1時間近くノンストップです。

ピアツェンツァ

午前中の心地良い光線の下、ミラノに向けて列車旅。

午前の車窓

いよいよミラノに到着

10時頃にはミラノの都市圏に入り、10:06にミラノロゴレドを通過。ここからは、線路が入り組んでいます。

ブレシア方面の線路とのデルタを直進し、ミラノランブラーテを通過し、ミラノチェントラーレに向かってデルタを左折します。

 

そしたらもうそこには終点のミラノチェントラーレが見えてきました。

ミラノチェントラーレの駅舎!

10:15にミラノチェントラーレの16番線にゆっくりと入線。

ながーいながーい列車旅もここで終わりです。昨日の午後14:54にカターニアで乗ってから、19時間21分の列車旅でした。

ミラノチェントラーレ

ローマテルミニから先頭に立っていた機関車

いい経験でした~

駅に着いたら、ゆっくりと降りて、改札を抜け、ミラノの街へ。

 

ところでですが、2024年8月にこの列車を検索したところ、全然違うルートを走ってました。

深夜のローマあたりまでは同じなのですが、そこから西海岸沿いにピサ、ジェノバ回りでミラノへ向かい、私が乗ったときより1時間ちょいミラノ到着が遅くなっています。どういう変更なんでしょうね???

そういえば、4月に乗ったローマからトリエステへ向かう夜行列車もフィレンツェ経由だったりアンコーナ経由だったりして、よくわかりませんね~

 

いずれにしても、列車ごと船に乗る経験はどのルートでも体験できます!