近々引退するらしいです。E4系。
こちらの記事では、2019年5月にE4系に乗ったときのお話をします。
Maxとは
子供のあこがれ新幹線。それが2階建てになったらもう大興奮。
小さいころから二階建て新幹線の2階に乗るのはめっちゃ楽しかったです。普段見えない景色が見えるし。あと、バカと子供は高いところが好きだからね。
小さいころから毎年富山の方に帰省することがあったのですが、その時必ず乗るのが上越新幹線。越後湯沢で降りてはくたかに乗り換えたり、長岡で降りて北越とかもっと昔はスーパー雷鳥に乗り換えて富山まで4時間くらいかけて行っていたものです。
そこには楽しい楽しい二階建て新幹線のE1系とE4系がたくさん走っていました。ただ、E1系は十年ほど前に既に引退してしまい、今はE4系のみ。そのE4系も徐々に数を減らしており、2022年までには完全に上越新幹線はE7系に統一されるそうなので、それより前には完全引退です。早ければ2020年にはいなくなるかもしれない。そんな子供たちのあこがれの的でした。
複雑な先頭形状からの圧倒的なそびえたつ壁のような巨大な車体。クソかっこいい。
ちなみに最高速度は240km/h。東北新幹線とかは320km/h、山陽新幹線が300km/hな今ではミニ新幹線を除けば日本一遅い新幹線になってしまいました。
そもそもは距離が短くスピードがそこまで求められない上越新幹線や東北新幹線(先代以南を想定)で、速度よりも輸送力を優先した車両なのでまぁ当然です。
16両つなぐと定員は1600人を超えます。東海道新幹線は一編成1300人と少し。大きく上回ります。
1600人をバスで運ぼうと思ったら30台以上は必要になるので、それだけを一気に運べるすごい車両なわけです。
上越新幹線は特に高崎以南では通勤需要が大きく、朝に大量の座席を供給するために自由席車両の2階は通路の両側に3列ずつ設け、ひじ掛けやリクライニングも排除した徹底的詰込み仕様です。ちなみに一階は少し幅が狭い?から?か、人気がないからか?自由席でも2-3列の5列なので、自由席で乗るときは一階がおすすめです。
あとは、車端部は車輪が下にあるため二階建てではなく平屋で、屋根が高くなっていて、さらには最大で3列しかないので個室のような気分を味わえる人気席です。車いすなどの対応もここの部分で可能です。
そういえば昔は上越新幹線は「とき」じゃなくて「あさひ」でしたね。Maxあさひとか。けど、1998年の「あさま」ができてからややこしかったからなのか?ほかの理由があったのかわかりませんが2000年代初頭には名前が変わった記憶があります。
16両編成のE4系に乗る
今回は東京8:24→新潟10:28のMaxとき307号。E4系を2つもつなげた16両編成です。
平日朝の東京→新潟に16両編成の需要はありません。じゃあなぜ16両なのかというと?
これは新潟6:07→東京8:12のMaxとき300号の折り返しなのです。
高崎7:15、熊谷7:32、大宮7:47で大量の通勤客を乗せてくるために座席が必要なのです。だから16両編成。それを新潟の車庫に持っていくために折り返しも16両なのです。
ちなみに、東北上越新幹線の東京駅での折り返しは12分しかありません。4分毎に列車が来て、ホームは4つしかないので、16分後には次の列車を同じところに入れなきゃいけないので、12分で発車させることが必須です。
着いてから3分ほどでお客さんが下り終わった後、16両編成の車内に清掃員が入り、ゴミを拾い汚れを掃除し、座席を回転させて、発車の4分前くらいにはドアを開けるので、わずか5分ほどで車内清掃を終えます。
この神業は昔からテレビなどでもたびたび特集されてましたね。
20番線で8:20頃に乗り込みます。お隣からははやぶさの新函館北斗行きが発車。北海道までつながっていることを改めて感じます。
予約したのは4号車の1階席。2階も素晴らしいのですが、今回は35%割引になるえきねっとの特別な切符なので、1階しか指定できませんでした。けど、2階に比べて1階はめっちゃ空いている。結局3人がけには一人も来ず、二人掛け席も半分ほどしか人が乗らないまま新潟まで行っちゃいました。二階はさすがにもうちょい乗ってましたね。
東京を出ると、上野、大宮、高崎、越後湯沢、長岡、燕三条、新潟の順に一般的な停車駅。これの少し後には、大宮の次に新潟まで停まらない速達型のときも運転されていて、新潟行くなら普通はそっちを選びますが、今回は二階建てに乗る目的もあったのでこの便を選んだわけです。
大宮を出ると、E4系の全力の加速を感じます。最高のモーター音。最新のE7系とか乗ったらもっと静かです。そして、結構揺れる。これも古さかな。
座席まわりの設備のお話
座席はリクライニングのほかに座面のスライドもして快適だけど、コンセントがありません!!!!!!
スマホ中毒の私は通常はコンセント付きの新幹線を選びます。最新のE7系には当然全席に完備されています。
ちなみに東海道山陽新幹線のN700系は車端部と窓側にしかないのでご注意を。
これは、1階の写真ですが、2階建てなのに開放感があるくらい屋根が高いです。荷棚には飛行機の機内持ち込みサイズのキャリーケースまでなら入ります。
同じ二階建てでも普通列車のグリーン車とかはそもそも荷棚がありませんからね。だいぶ広々しています。
最新型のE7系は、北陸新幹線の全てで使われており、上越新幹線でも間もなくこれに統一されます。
長野新幹線とE4系のお話
高崎まではすぐに着きます。まぁ湘南新宿ラインとかでも行ける近郊範囲なのでね。ここから、北陸新幹線が分岐します。昔は長野新幹線で、そっちはおまけみたいな感じだったのに、今やメインは北陸新幹線でおまけが上越新幹線みたいになっています。向こうは12両編成のかがやきとはくたかとあさまがばんばん走っていて、こっちはときとたにがわが走っているけど向こうよりは本数が少なくなりました。
はくたかは最近スピードアップして、高崎を飛ばす列車も増え、かがやきは当然長野までノンストップ。一方のこちらはときでもたにがわでもノロいのが多く、対照的です。
そんな北陸新幹線は2015年までは長野新幹線(通称)でした。JRとしてはあくまでも北陸新幹線の一部分ということで「長野行新幹線」というのを使っていたそうですが、そんな名前が定着するわけもなく、結局長野新幹線と呼ばれるに至りました。
開通は長野オリンピックの1998年。当初はE2系のほかに200系も乗り入れていました。
この長野新幹線、東日本の他の新幹線とは違って乗り入れられる車両が限られます。
文系なので詳しいことは知りませんが、東日本と西日本ではそもそも電気の周波数が違うらしく、東日本は50Hz、西日本は60Hzらしい。東日本の新幹線は当然50Hzですが、長野新幹線は途中から60Hzゾーンに突入し、北陸は60Hzゾーンなので当然どこかでそれを切り替えなければなりません。
その区間が軽井沢~佐久平にあるため、他の東日本の車両は50Hzにしか対応していないので軽井沢までしかたどり着けないということになります。ちなみに北陸新幹線が開業した今、長野の先の上越市(新潟県)で再び50Hzに戻り、富山県に入ると再び60Hzを走るという複雑なことになっています。
しかし、他の車両は実は軽井沢までさえたどり着けません。
長野新幹線は安中榛名~軽井沢間で急こう配の碓氷峠を超えます。なので、30‰程度の急こう配を上り下りできる性能が必要です。上れるのは大前提で、他の車両がそこで故障した際にそれを押し上げられるだけの力が必要です。また、下るときも安全に下れるように専用のブレーキが必要なのです。
なので、他の東日本の車両は安中榛名までしかたどり着けません。しかし、安中榛名では折り返しができないので、高崎までしかこれず、長野新幹線には入れないのです。
そして、なぜこんな話をしたのかというと、今は上越新幹線でしか走っていないE4系、実は長野新幹線に乗り入れたことがあるからなのです。26編成中4編成のみ。しかもそのうち2編成は軽井沢までだけ。
急こう配に対応したP51,52編成は軽井沢まで入ることができ、周波数にも対応したP81,82編成は長野まで入ることができます。
昔、時刻表でMaxあさま号の上野行きとかがあった記憶があり、実際に入っていたようです。
が、上り列車の営業のみです。長野方面の急こう配にお客さんを乗せて上るのはやはり厳しかったんでしょうかね。
ところで、E4系は今では上越新幹線しか走っていませんが、昔は一部の盛岡行きのやまびこと、山形新幹線つばさと連結するすべてのやまびこにも入っていました。あと、試運転で実は新青森まで入ったこともあります。ミニ新幹線以外の全ての区間に入った東日本の新幹線はE2とE4とあとはEast iくらいでしょう。
ちなみにE2系、このまんま中国にも輸出されてます。
話が逸れました。
上越新幹線と、北陸連絡のお話
列車は高崎を出ると、榛名トンネル、中山トンネル、大清水トンネルと長大トンネルを次々に超えていきます。ちなみになんと電波が通じました。しっかり線を引いてくれたのでしょうね。
このトンネルの建設時には大出水事故が起きて、上越新幹線の開通は6か月遅れたそうです。
こわいこわい。
そんな大きなトンネルをいくつも通り、越後山脈を越えると越後湯沢です。ちょっと前まではスキーシーズンで賑わっていたことでしょう。冬はガーラ湯沢を中心にスキー需要でほんとにこの辺は賑わうようですが、今はガラガラ。
冬に乗るとほんとにトンネルを抜けた瞬間雪国って感じです。豪雪地帯の越後山脈北麓ですからね。川端康成の国境の長いトンネル云々もこの辺です。
ここの雪解け水が魚沼のおいしいお米を作るわけですね。
昔はここからほくほく線経由で金沢まで特急はくたかが12往復ほど出てましたが、これも今はもう来ません... 北陸新幹線は偉大だ...
ちなみに、このはくたか号、京成のスカイライナーと並んで在来線最速の160km/h運転をしていました。単線のほくほく線で!
めっちゃ耳つーんってなります。なので窓は特別に強化されたものに交換されているそうです。
そんな越後湯沢を過ぎると次は長岡。もう新潟の近郊とも言える場所です。在来線で新潟に行っても1時間ほど。新潟交通の県内高速バスも多数走っています。
ここも鉄道の要衝で、貨物列車で言えば上越線から来た機関車を北陸のものに付け替えるところであり、夜行列車で言えば、かつての北陸が機関車を付け替えたり能登が折り返したりと鉄道ファンの大好きな街でした。今は夜行列車はなくなっちゃいました。
また、ここも首都圏と北陸の結節点として、ほくほく線が開通する前はスーパー雷鳥信越とか、北越とか、白鳥とかの485系特急列車との乗り換え駅でした。
特に、白鳥は大阪から青森まで一日かけて走り抜ける特急列車。北陸の花形でした。
新潟県内を突っ走る
長岡を過ぎると燕三条です。
駅名に紆余曲折あり、有名な話ですが三条市と燕市にまたがっているから揉めたとか。
ちなみに近くには北陸道の三条燕インターがあり、なんとかうまいことやっています。
昨年この駅に降りた時に、国鉄末期の無駄に豪華な建築物と人のいなさが面白くて写真を撮った覚えがあります。
燕三条の次が新潟です。
新潟駅は11番線から14番線までが新幹線ホームですが、11番線は在来線の高架化工事により在来線とフラットに乗り換えることができるようになり、そこに入る列車が増えました。
乗ってる列車は特急いなほとの接続がないので13番線到着。
なんとお隣の12番線にも16両のE4系がいます。
新潟駅で新幹線見学
26編成あるE4系の4本がここにいます。今後珍しくなる光景でしょう。
ここで、切り離して8両ずつになって車庫に向かいます。
そして冒頭の写真のようになりました。
E4系車内見学
E4系の車内の写真も見てみましょう。
車内で階段があるというのはやはり面白いです。真ん中の青い部分は実はエレベーターになっています。といっても人用ではなくカート用。車内販売をするとき、先代の2階建てのE1系では手持ちで回っていたそうですが、カートをこのエレベーターで上下させることでE4系ではカート販売が可能になっていました。
といっても今は経営合理化なのか、車内販売は一切ありません...
車内販売では補え切れない需要があったのかは知りませんが、ここでは軽食や飲み物の対面販売も行われていました。が、今ではこのような有様です。悲しいですね。
AEDも設置されています。ここ、よく考えてみるともともとは公衆電話スペースですね。時代の流れで撤去されて代わりにこれが設置されたようです。
そもそも公衆電話はあっても、トンネル内だと通じないし、上越新幹線では微妙そう。
昔のE4系
このE4系、今ではピンクの帯の朱鷺色ですが、これは最近変わったことです。
2015年に乗った時の写真がこちら。
手前は旧塗装の黄色、奥がピンク色。ちょうど過渡期で塗り替えていた時ですね。
E4系といえば手前の黄色のイメージが強いです。
どちらにしろかっこいいです。
ほんとにそびえたつ壁といった感じでかっこよさの塊です。
残り少ないE4系、皆さんも楽しんでみてはいかがでしょう?