在来線特急まったり旅です。
- 仙台までの爆安チョイス、特急ひたち
- 特急ひたちの車両
- 震災と、常磐線の復旧
- 仙台ひたち
- 仙台駅でひたちに乗車
- 仙台から南下
- 原子力災害復旧区間へ
- こまめに停まる常磐特急
- 水戸からラストスパート
- いよいよ東京
仙台までの爆安チョイス、特急ひたち
今回のは、ひたち30号。仙台発品川行きです。
品川まで行くとおうちが遠いので、実際に乗ったのは東京までです。
仙台18:02発、東京22:44着。4時間42分の長旅! のぞみで博多から東京に帰るのとそんなに変わらない時間です。
なぜ乗ったか。
安いからです。
週末パスという土日2日間有効な切符があるのですが、東京から仙台までフルカバーです。で、特急券を追加したら特急にも乗れる優れた切符です。
週末パスは8880円。普通列車で仙台往復すれば、片道4440円です。
で、東京から仙台までのひたちの指定席は2900円。つまり、4440円に2900円を足しても7340円。だいぶ安い!
普通に東京から仙台まで新幹線に乗ったら、10000円を超えます。まぁ、時間を買ってるわけです。
さらにさらに、特急ひたちの指定席は、えきねっとで買うと席数限定で35%オフになります。
なので、今回は1880円。
4440円に1880円を足して、6320円。だいぶ安くなりました。
ちなみに仙台行くときも暇なのでひたちで行ったのですが、その時は残席が少なかったので、普通に2900円で買ってます。
ということで、仙台往復13660円を達成しました。
通常の2万円超えに比べればめっちゃお得! 時間はかかるけど快適な特急列車の旅です。
特急ひたちの車両
乗る車両は、E657系です。
常磐線の最新特急車両です。2015年くらいに入ってきたイメージ。
10両固定編成で、5号車がグリーン車。品川、上野~土浦、勝田、高萩の特急ときわと、品川、上野~いわき、仙台の特急ひたちの両方に入ります。
座席は全席指定。普通車グリーン車みたいに座席の上にランプがついてて、ランプが緑なら発売済、ランプが赤なら空席と分かる優れものです。このシステムはほぼ同時期に導入された中央線の特急あずさ、かいじ用のE353系も同じです。
651系は元スーパーひたちで、7両と4両。いわきまでは基本11両で行き、いわきより北の仙台までは4両だけで行くような運用をしてました。
E653系は元フレッシュひたちで、7両と少しの4両。基本は7両か、7+4両か、7+7両。グリーン車なしで、短距離専用でした。
こいつらの置き換えの話が出てきたのは、2010年。そう!震災直前です。
記憶だと、651系は常磐線からすべて転用されて、E653系は4両がいわき~仙台の専用の特急として残り、他が常磐線から転用されるみたいな話でした。
そして、品川、上野~いわきまでの区間は、すべてE657系の10両編成に統一するというお話。
しかし、ご存知のように常磐線のいわき以北は地震と津波と原発災害で長期の不通となります。
これによっていわき~仙台の特急の話はなくなり、E657系が入ることで651系とE653系は基本常磐線から転出していきました。一部の編成は波動用として残りましたが、定期運用は持たない状態です。
結局E653系は、一部が勝田に残った以外は、7両編成が新潟~秋田の特急いなほ、4両編成が新潟~上越妙高、新井の特急しらゆきに転用されました。交直両用車の特徴を生かして活躍中。
651系は、一部が勝田に残った以外は、高崎線の特急のあかぎ、草津などへ。さらに一部は観光列車のIZU CRAILEになったり。2023年現在すべていなくなってしまいました...
勝田に残った651系は一時期、いわき~富岡の普通列車とかに入ってました。富岡以北は原発の問題でずっと普通だったので、常磐線の末端輸送です。
震災と、常磐線の復旧
常磐線の復旧は、だいぶ時間がかかりました。
相馬以北は津波で流された区間が多く、震災時にもE721系やED75の貨物が流されました。なので、この区間は一から山側に高架線を新規建設する形で復旧し、2016年に5年ぶりに再開しました。
原ノ町の前後は津波の影響はなかったため比較的復旧は早く、2011年の12月に原ノ町~相馬は再開しています。ただ、南は原発、北は津波で不通なので、完全孤立状態の路線でした。定期的に列車は陸送で入れ替えなきゃいけない状態です。
原ノ町の南側は、小高、浪江へと徐々に2016, 2017年に再開しました。2017年時点で、北側は浪江~仙台までつながりました。
一方、いわきサイドは、原発の問題で徐々に北へと復活していきます。
2011年中に徐々に復旧し、広野までつながります。
2014年に竜田までつながり、2017年には富岡までつながりました。
それより北の不通区間はバス代行です。
この区間のバスに乗ったことがありますが、原発に近い地域を通るので、窓は開けるなと言われます。道路の両サイドは帰還困難地域なので地震が起きたときのまま。
復旧はまだまだという感じでした。
2018年にこの区間を走ったことがあるのでその時の写真を。
なんと、いわき~富岡の普通列車の一部は651系の4両編成が最後の活躍をしていました。
常磐線は、繋がってません。
そしてそして、
2020年についに、最後の不通区間である富岡~浪江がつながります。帰還困難地域ですが、除染が終わって入れるようになりました。駅前の一部の区画は人が入れるようになり、徐々に新しい家を建てたりし始めてます。
途中には、大野、双葉など十数年前のニュースで聞いた駅名が並んでいます。
この時も新規開通区間を見に行ったのでお写真を。
ついに常磐線が全部つながりました
開通はしたものの、駅以外は2011年3月11日のままです... 人の立ち入りもできず。
自動販売機もあの時のまま止まってます。
一方で、全然別の話ですが、2015年に上野東京ラインが開業したので、常磐線は品川に乗り入れを開始し、特急は品川始発が増えます。
ということで、常磐線が全線開通した2020年からは、特急ひたちも品川~仙台の通し運行を始めます。
2010年の時点ではいわきで分断して、いわき~仙台の特急を走らせるという話でしたが、震災の影響がめぐりめぐって特急ひたちの直通列車を誕生させました。
結果的に仙台まで10両編成で乗り入れます。
仙台ひたち
仙台まで来るひたちは1日3往復。ひたち自体は1日15往復くらい? ほかの便はいわき止まりです。
さらに、勝田や高萩止まりの特急ときわも含めると、常磐線特急はさらにたくさん走ってます。そのうちのたった3往復です。
仙台までの乗り通しはあまり想定されてないんだと思いますが、意外と乗り通す客もいました。
想像だと、都内からいわき以北の富岡とか浪江とか原ノ町とか相馬まで行く人がターゲットなのだと思ってましたが、今回見た意外な客としては、土浦~仙台まで乗る人とか、東海~仙台まで乗る人とか。仙台側と常磐線沿線の細かい需要も拾ってるんですね。
で、ひたちは列車によって停車駅が違います。今回乗るひたちは結構多いほう。それでも、水戸以南はときわが走ってるので停車駅は少な目です。
具体的には、
仙台
岩沼
亘理
相馬
原ノ町
浪江
双葉
大野
富岡
広野
いわき
湯本
泉
勿来
高萩
日立
常陸多賀
大甕
東海
勝田
水戸
土浦
上野
東京
品川
多いですね~
特に、
浪江~富岡は5駅中4駅停車。
いわき~勿来は6駅中4駅停車。
日立~水戸は7駅中6駅停車で日立から東海まで4駅連続停車。
みたいな感じでよく停まります。
日本の特急列車の停車駅数トップ3とかに入るんじゃないですかね?調べてないから知らんけど。
仙台駅でひたちに乗車
そろそろ当日のお話です。
当日は石巻に行ってて、夕方に仙台市内に帰還。18:02の出発までは暇です。
長旅になるので、駅弁とドリンクを調達して、17:40くらいに改札をくぐりました。
仙台駅と言えば、牛タンですね。あったかくなるタイプのアレです。なのですぐ食べなくてもOK。
乗る車両は、ひたち13号としてすでに到着してます。仙台駅6番線。
折り返しは約35分。到着が遅れると折り返しも遅れそうな感じの時間ですね。
ちなみに16時台に出るひたち26号は、昼過ぎに着くひたち3号の折り返しで、4時間くらいあります。なので一回車庫に引き上げます。こっちはある程度遅れても折り返しは間に合いますね。
今日は定刻で列車が着いてたので、折り返しも定刻っぽいです。
ここでちょっと仙台駅探検。
仙山線ホームの8番線の横に面白いのがいました。ロングレール輸送用キヤE195系です。秋田方面へレールを運んだあとの回送っぽいです。
5番線には新庄からの臨時快速が入ってきました。珍しいキハ110の指定席車です。昔々は特急秋田リレーに使われていたはずの車両。
秋田新幹線の建設中に、北上から秋田まで北上線と奥羽線経由で走ってた連絡特急のことです。
発車前に車内へ。
3連休の真ん中の日で、最終のひたちなのでそんな混んでません。というかガラガラです。
一両に10人もいない感じです。当然一人で2席使えるし、後ろにリクライニングを倒しまくっても誰にも迷惑しません。
仙台から南下
18:02に定刻で出発しました。外はもう真っ暗。
仙台を出たらのろのろとカーブを進んで新幹線の横を走って、長町、太子堂と通過し、スピードを上げます。
名取とかを通過していきますが、15分ほどですぐに最初の停車駅岩沼に着きました。岩沼に停まるひたちはごくわずか。平日だったら仙台から岩沼までの短距離利用者とかがいるんでしょうね。快適だし。
岩沼を出ると、単線の常磐線に入って、ぶっとい東北本線とお別れです。4時間以上後に日暮里で合流する東北本線です。
常磐線に入ったらまたすぐに停車駅です。亘理に到着。
亘理も仙台の都市圏っぽいので、これも通勤を見込んでの停車なのでしょう。他のひたちは通過します。
亘理の次は相馬まで停まりません。この区間は、津波で流された後に内陸側に高架線で新たに作り直したところです。
とは言っても、夜。あんまり外は見えません。
ここで、ビーフジャーキーを開封!仙台の定番、牛タンジャーキーです。普通においしい。
相馬まで来ると、仙台都市圏から外れます。というか福島県です。
相馬を出るとほどなくして原ノ町です。原ノ町は常磐線の中でも割とデカい駅。ここに乗務員の拠点があるようで、この特急ひたち30号の車掌も、「原ノ町統括センターの〇〇です。」って言ってました。
というか、統括センターって言うんですね。
車掌さんはいわきまでの乗務のようです。
原ノ町は19:05着。仙台から約1時間。まだまだ長い。
原ノ町より北は、仙台支社。緑色の交流電車が来ます。
原ノ町より南は、水戸支社。青い交直流車が来ます。というか。E531系です。上野東京ラインでおなじみのアレ。
アレの5両編成のワンマン対応車が原ノ町まで入ってきます。
原ノ町と言えば、震災の時に停まっていた車両が、4年くらい放置されてました。
その日の夕方の原ノ町始発上野行きに入るはずだった651系のスーパーひたちの4両編成と、415系の普通列車。
結局その後走ることはありませんでした。
しばらくは相馬までの陸の孤島として復帰し、仙台までつながったあとは常磐線の北側の世界。原発の不通区間があったので、浪江まで仙台の車両が入ってました。
原子力災害復旧区間へ
原ノ町を出ると次は浪江です。今は仙台の車両ではなく勝田の車両が入る区間です。
浪江から先は2020年にやっと復活した区間。ここから3駅連続停車です。
浪江、双葉、大野と5分毎くらいに停車。各駅の乗り降りは推定1~2人程度ですかね。編成全体で100人も乗っていないので。
大野を出ると、夜ノ森だけ通過して富岡に着きます。富岡の手前で山から下りてきて右カーブをすると富岡駅です。富岡駅は低地にあって、海側には巨大な堤防を作ってます。あと、東京電力の廃炉資料館もこの近くにできました。
富岡より南は2020年より前に復活した区間。途中広野だけ停まっていわきへ。
広野は火力発電所が有名ですね。
いわきには、20:14に到着です。
仙台から2時間12分。だいぶ乗りました。東海道新幹線だったら東京から京都まで行けます。
ただ、ここまでの区間はまだ特急ひたちのおまけ区間。ここからが特急ひたちのメイン区間です。
そして、いわきまでは単線でしたが、ここからは複線です。列車本数が増えます。特急も1時間に1本。普通列車は最大10両になります。E531系のほか、今やレアなE501系も走っている区間です。
いわきより先は、高速バスとの競合区間。
いわき~東京は高速バスいわき号が走ってます。新常磐交通とJRバス関東の共同運行です。値段ならあっち。駐車場に停めてパークアンドライドをするのも便利です。
ただ、スピードと快適性は圧倒的に電車ですね。
こまめに停まる常磐特急
いわきを出たタイミングで、仙台で仕込んでた牛たん弁当を開封!
黄色いひもを引くと、化学反応でめっちゃ熱くなる優れもの。電車内でめっちゃ湯気が出ます。
そして、数分後に、アツアツになったごはんと牛タンをいただくのです。
そりゃお店で食べるのには劣りますが、移動中の電車でアツアツを食べられるのは優れもの!!!
ちなみに、中華圏では食べ物はアツアツじゃないといけない信仰が強いみたいで? 電車や駅には必ずお湯コーナーがあります。
マイ水筒に入れてあったかいお茶を飲むもよし、カップ麺に注いでアツアツの麺を食べるもよし。
そういうのもいいですねーーー
列車はというと、いわきを出て一駅通過してすぐに湯本、さらに次の泉にも停まります。このへんはいわき郊外という感じ。
湯本はスパリゾートハワイアンズの最寄り。泉はアクアマリンをはじめとした小名浜地区の最寄り。
そして、オタク的には泉は小名浜方面の福島臨海鉄道の貨物の分岐駅でもあります。かの有名な安中貨物の出発地。
そして、泉を出たらまた一駅通過してすぐに勿来。難読駅名。なこそ。
ここまでが福島県です。
そしてそして、ここでデザートタイムです。
いわきからは車内販売が乗っています。そして、車内販売にはアイスクリームが復活しました!!!
東海道新幹線では2023年10月を最後に廃止されてしまう車内販売ですが、東日本では健在! しかも、新幹線だけでなく特急ひたちとあずさでもやってます。
車内販売のアイスはいったん廃止されていたのですが、我々のアツい声で復活しました!!!
ということでバニラアイス。安定の硬さです。
列車は茨城県に入り、次は高萩。途中にあった磯原は一部のひたちが停まりますが、今回は通過。
高萩の次は日立に停まります。この列車の名前の由来。あの企業城下町日立です。
日立もバスとの競合。
高速バスひたち号は日立電鉄とJRバス関東の共同運行で、日立、常陸多賀から東京まで走ってます。一部は高萩にも。
そして、日立からはほぼ各駅停車ゾーン。
日立、常陸多賀、大甕、東海と4駅停車し、1つ佐和だけ通過して、また勝田、水戸と連続停車。
それだけ大事な駅がたくさんあるわけですねー。とは言っても速いひたちだと日立の次は勝田まで停まらないやつもあります。
勝田はひたちなか市の中心。ひたち海浜公園が盛り上がる時期は大混雑です。
また、勝田は常磐線の車庫があります。東京の方からくる列車は勝田止まりがめっちゃ多いです。今乗ってる車両も勝田の所属。
東海、勝田もバス競合ゾーン。東京までの茨城交通が走ってます。と言っても本数が少ないので圧倒的電車有利ですが。むしろバスの方はひたちなかの駅から遠いところがターゲットです。
そして、水戸は茨城県の中心。全列車が停まります。常磐線の中で一番大きい駅ですね。
水戸には21:26の到着。仙台から3時間24分乗ってきました。長旅。ただ、東京はまだまだ先。
水戸もバス競合ゾーン。水戸から3ルートで東京駅まで高速バスが走ってます。電車が来ない茨城県庁をカバーしてるほか、水戸から赤塚の間の細かいバス停に停まって、需要を拾ってます。常磐道上の内原バス停と石岡バス停でも乗れます。めっちゃ便利だし多い時間帯は1時間に3本以上走ってます。そして、安い。
この区間は割といい競合してるんじゃないですかね???
水戸からラストスパート
水戸から先は特急ひたちはぶっ飛ばします。というのも普通列車が増えるし、細かい駅は特急ときわがカバーするので。
なので、基本は水戸から上野まで1時間ちょいノンストップです。が、朝とか夜の一部ひたちは土浦とか柏とか停まります。
で、この列車は土浦に停まります。
水戸から約30分で土浦到着。特急は速い。
土浦を出たらまた爆速で飛ばして、10分ちょいで取手を通過します。取手の手前で交流電化から直流電化に変わります。つまり、直流電車は取手より南しか走れません。だから常磐線の緑色の電車はだいたい取手行き。
その直後、我孫子を通過します。ここまでくると東京を感じます。
横を走るのは千代田線直通の普通列車。すれ違うのも緑色の常磐線。
そして、割とでかい柏とか松戸を最速でぶっ飛ばしていきます。快適。
22:30くらいに北千住の手前で荒川を渡ります。横に並走する列車が!!!
あちらはつくばエクスプレスです。
そしてそして、南千住を通過したあたりで、「まもなく上野です。」放送!!!
ついについに、上野です。常磐線の終点。
左カーブを曲がって、22:34くらいに日暮里を通過し、東北本線に合流。岩沼を出て以来の東北本線との感動の再会です。
22:37、ついについに上野に着きました。昔の常磐線なら地下ホームの16番線とかに到着していましたが、今は上野は終着駅ではなく途中駅。
地上ホームに着きます。
まぁまぁな人数が降ります。
いよいよ東京
上野を出れば5分で東京に到着です。
東京到着は22:44。仙台を出てから4時間42分で到着しました。
長かったーーーーー
この列車はあと8分走って、品川まで行きます。私は東京でお別れ。
東京駅から大手町駅まで歩いて、地下鉄で帰りましたとさ。